坑井刺激技術
坑井刺激技術は、シェール層(タイト)層に代表される、流動特性の低い地層から経済的に見合う量の原油・天然ガスを取り出すために、力学的もしくは化学的な手法により人工的に流体が流れやすい流路を形成する技術です。
JAPEXは、国内の有望なシェール層(タイト層)から石油・天然ガスを産出するための坑井刺激技術の検討を進めています。また、坑井刺激技術を活用した、海外での石油・天然ガス開発生産やカーボンニュートラルに関する事業プロジェクトなどの検討も進めています。
坑井刺激技術の種類
力学的な手法は「水圧破砕」または「フラクチャリング」、化学的な手法は「酸処理」または「アシダイジング」と呼ばれます。シェール層(タイト層)の特性により、適用する技術が異なります。たとえば、アメリカのシェール開発では、水平井と多段水圧破砕の組み合わせを効果的に用いています。
水圧破砕(フラクチャリング)
水圧破砕は、坑井から大量の水を一気にシェール層(タイト層)内へ送り込み、地層破壊を引き起こす手法です。地層破壊により、固い岩石に割れ目を形成し、岩石の中に含まれる石油や天然ガスを取り出します。
圧入作業をある程度継続することで地層破壊領域を広げていきます。地層破壊によって形成された割れ目には、油・ガス生産時に割れ目が閉じることがないように、プロパントと呼ばれる支持材を充填していきます。
主な実績
- 2014年:秋田県・福米沢油田で日本初となる「水平井での多段フラクチャリング実証試験」を実施
福米沢油田実証試験 圧入ポンプ群
福米沢油田実証試験 水圧破砕作業
酸処理
シェール層(タイト層)を形成する固い岩石(頁岩)も自然の割れ目が発達している箇所があるものの、長い年月の間に鉱物などで目詰まりしている場合があります。
酸処理は、地層を構成する鉱物群のうち、酸で溶解しやすく、かつ溶解後に流路を形成しやすい特定の鉱物を狙って、酸を圧入し、石油・天然ガスを取り出す手法です。
JAPEXでは、秋田県・女川タイト層をターゲットに、酸処理の検討と実証試験を進めています。女川タイト層の珪質頁岩中に発達している炭酸塩鉱物脈は酸で溶解しやすく、溶解後は石油・天然ガスの流路として効果的に機能すると想定されています。
主な実績
- 2012年:秋田県・鮎川油ガス田で、女川タイト層への酸処理実証試験を実施し、経済性に見合った原油生産に成功
- 2020年:技術の最適化を目指した次回の実証試験に向け、女川タイト層で事前生産テストを実施し原油の産出を確認
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